カーボンフットプリント(英:Carbon footprint、略称CF)には、以下の用法がある。
"Carbon footprint"は「炭素の足跡」を意味する言葉で、日本では英語の読みをそのまま用いて「カーボンフットプリント」と呼んでいる。
1990年代に、人間活動が環境に与える負荷を資源の再生産や廃棄物の浄化に必要な面積として表す、エコロジカル・フットプリント(Ecological footprint)という概念が提唱された。
一方、Carbon footprintという言葉はEcological footprintの由来と同じく、「人間活動が(温室効果ガスの排出によって)地球環境を踏みつけた足跡」という比喩からきており、一般的に製品が販売 されるまでの温室効果ガス排出量によりあらわされる。
ただし、エコロジカル・フットプリントが面積で表されるのに対し、カーボンフットプリントは温室効果ガス排出量(重量)で表される。これは、エコロジカルフットプリントが、国や行政区画などの大規模なコミュニティ単位で環境負荷を考えるのに際して、面積を用いるのが分かりやすいのに対し、カーボンフットプリントは個人や企業単位で考える上、カーボンフットプリントの ようにさまざまな種類の環境負荷を1つの単位で表そうとすることが必要ないので、二酸化炭素の排出量を表すのに一般的に用いられている重量を用いるのが分 かりやすいからである。両者が混同されて誤解を招きかねないことや、「フットプリント」の意味から考えても、カーボンウェイトとすべきだという批判もある。
カーボンフットプリントが提唱されたことで、欧米を中心に、個人がそれぞれ生活の中で排出している温室効果ガスについて、生活のどの部分でどれだけ のガスがどのように出されているかということを把握し、できる所から温室効果ガスの排出量を減らしていこうという活動が活発化した。やがて、これを企業に 当てはめて商品に表示する試みも始まった。カーボンフットプリントの算出には、ライフサイクルアセスメントの手法が用いられるのが一般的である。
カーボンフットプリントは当初から、個人や家庭での活動を通して、生活のどの部門でどのくらいの温室効果ガスが排出されているのかを知ることを目的としている。日本では単に「CO2の算出」と呼ばれているものである。
日本の一般的家庭の平均的なカーボンフットプリント(1世帯あたり、2006年基準)を以下に示す。
ライフサイクルアセスメントで企業活動のどの部門でどれくらいの温室効果ガスが排出されているのかを知るという目的は個人・家庭でのカーボンフットプリントと同じである。しかし企業においては、消費者や株主などからの要望に対して負う企業の社会的責任(CSR)を果たす、排出量を開示することで他社・多製品/サービスとの競争力をつけるといった別の意味合いもある。近年の例として、機関投資家が大企業のカーボンフットプリント開示を求めるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)などがある。 これも日本では単に「CO2の算出」と呼ばれており、商品/サービスにおけるものだけを特に「カーボンフットプリント」と呼ぶ傾向がある。
2007年3月から表示を行っているイギリスWalkers Crisps社のポテトチップの例をとると、次のような形式で表示されている。
同じくイギリスinnocent Drinks社のスムージーの例をとると、イギリスの1人当たり二酸化炭素排出量は1年間で7.6トン、1日で20.8kg、そのうち13%にあたる2,700gが飲食物製品によるものであり、同社の250mlいりスムージー1本はその8.4%にあたるという
一つの商品における原料の採掘や栽培、製造、加工、包装、輸送、および、購買・消費されたあとの廃棄に至るまでの、それぞれの段階で排出された温室効果ガス(温暖化効果ガス)である二酸化炭素 (CO2)などの総合計を重量で表し、商品に表示することをカーボンフットプリントと呼ぶ。カーボンラベリング(Carbon labellng)、二酸化炭素(CO2)の可視化、見える化といった呼び方もある。(英語版のCarbon emission labelを参照)
もともと、欧米では「個人や団体が温室効果ガスの出所を把握する」という概念で使われている。日本では、もともとの意味で使われることは少なく、温室効果ガス排出量を商品に表示する制度と解釈されることが多い。
カーボンフットプリントの表示は環境ラベリング制度の1つで、地球温暖化防止活動においては、最も直接的に商品が地球温暖化に与える影響を知ることができるラベリング方法である。
経済活動の中で、ある商品がたどる流れは次のようになる。商品の製造計画を決め、原材料を採取して工場まで輸送し、工場で加工・包装などを行い、出荷され店頭に並び、消費され、廃棄される。これらすべての段階を商品のライフサイクル(一生)と呼ぶ。
これらすべての段階で、輸送機器や機械などを動かすことで間接的に、あるいは燃焼などにより直接的に、CO2を短時間で固定できない枯渇性エネルギー(化石燃料)を使用してCO2を発生させる。ここで出るCO2の量を、実際に測定するか科学的に証明されている方法で推定し、1製品あたりの排出量を求める。これはライフサイクルアセスメント(LCA)と呼ばれる手法の1種である(ふつう、LCAはあらゆる種類の環境負荷を対象とするが、カーボンフットプリントの場合温室効果ガスだけを対象とする)。
そのCO2排出量を、商品の包装の外側に書き表すのがカーボンフットプリントである。
商品の原料を作る段階から商品の廃棄に至るまでに関係する事業者と、その商品の消費者の双方にCO2排出量の自覚や認識をさせて、温室効果ガスの排出量を削減しやすくなるよう促すことを目的としている。
対象とする温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)などである。すべて地球温暖化係数をもとに二酸化炭素に換算(単位はg-CO2eq)されて、合計値で商品の外装に表示される。
国際標準化機構(ISO)の技術委員会では、企業がカーボンフットプリントを商品に表示する場合、どのような基準で算定するかの検討を行い、標準化を目指している。
現段階では、法的規制や基準などは正式決定していない。PAS2050が実証段階にあり、2008年秋ごろに決定する予定で、これが世界初の基準となる可能性が高いとされる。
基準は各事業者が決めているが、参考として京都議定書や欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)、ライフサイクルアセスメント(LCA)などにおいて用いられている科学的な排出量の証明方法があり、これを用いるのが現状では最も信頼性のある方法である。
ただ、排出量の算定は煩雑な計算を伴う。業種や製造法などによって算出式も異なる上、原材料の採取や廃棄など自社が直接関わっていない部門の排出量 をも算出しなければならない。そのため、費用対効果が少なければ敬遠されがちだとされ、普及に際しては算定方法を簡素化したりといった支援が必要になるの ではないかという指摘がある。簡素化に関しては、無数の部門や作業工程などのうち、全排出量に占める割合が低いものについては、算出対象にしなくても良いというカットオフ(cut off)の制度がある。イギリスのカーボンフットプリント規格であるPAS2050の場合、全排出量の1%以上を占める排出源をすべて算出に含め、かつ全排出量の95%以上の排出源を算出対象にする場合に限ってカットオフを認めている。
また、算出データについては、事業者が自ら測定・調査した生のデータと、事例から明らかになっているデータを当てはめて算出した二次的なデータの2種類がある。PAS2050の場合、全排出量の60%以上の排出源で生のデータを用いることを定めている。
制度化に関しては、次のような論点が挙げられている。
また、表示の仕方や制度に工夫を凝らす試みも行われている。